決断の備忘録と奈良一人旅
今年に入って早くもひと月が経ち、着実に時間が過ぎて行っている。
先週末ほどではないものの冬相応に寒い。
先に断っておくが、この記事は自分にとっての備忘録として記したいと思う。
どうしても何度も後悔してしまうからだ。
つい先日の1月31日、ついに山口行きの返事をした。「行く」という意思を伝えた。
しかし、不承不承の状態ではあった。
前日の30日、山口に行くか否か一日中考えた。家の周りにある池をぐるぐる回りながら散々考えた。
結果、出た答えは「断る」というものだった。
そう、最初は断ろうと思ったのだ。地元での友人とのことや自分のしたいことを考えての結論だ。
翌日の朝、その決断を母親に告げた。しかし、予想通り賛同はしてもらえず再び考え直す羽目になった。改めて考えてみたものの、自分の中での結論は揺るぎそうになかったので、仕事を終えて夕方に帰ってきた母親や妹にその旨を話した。
すると、めちゃくちゃに非難された。母親からは、この話を蹴ったら軽蔑するとか、ご飯を作らないとまで言われた。
そして元来、人に流されやすい自分はあまり納得しているわけでもないのに、その日が返答期限であることもあって、行く返事をしてしまったという訳である。
しかし、問題はそこからであった。
次の日も優柔不断な自分は思い悩み、やはり断ろうという気持ちになっていった。
それは知った母親と妹は(ちなみに父親は出張中)が再び烈火の如く怒りだし、大討論会に発展した。
山口の伯母にもラインで相談したものの、どうにもこちらの返事を急いでいる様子。八方塞がりである。
自分の意見に賛同してくれる人もいないので、四面楚歌だと言ってもいい。
何にせよ、母親たちが家に帰ってきてからの約6時間ずっと口論になってしまい、自分自身も冷静でないことに気づいたので、翌日の2月2日は朝から家出をしてやった。
家出とは言っても、「出掛ける」とは伝えたので、完全なるそれとは違うかもしれない。行き先は告げなかったが。
家出の先は奈良。キトラ古墳や高松塚古墳、飛鳥寺や橿原神宮を巡った。
好きな映画『ガメラ3 邪神覚醒』の元ネタにもなっていることから、前々から気になっていた。
特に今回、キトラ古墳ではG3ガメラの元ネタになっている玄武の描かれた壁画が特別公開されているとのことで、思い付きとは言え意気揚々と出かけた。
展示の内容自体は大満足だった。
とても貴重なものを見ることができた。
しかし、こっちの精神状態が悪かった。
ふとした瞬間に、山口のことが頭をよぎり、憂鬱な気分になってしまうのだった。
再び悩みまくり、最後は神頼みをすることにした。
日本最古の寺である飛鳥寺に鎮座する仏様や初代天皇を祀った橿原神宮に参拝して、お導き頂けるようお願いした。
自分の中で結論が出たのは家の最寄駅に着く10分前だった。
山口に行くことが、少なくとも周囲は一番丸く収まることは分かっていたので、あとはいかに自分自身を丸め込めるかが重要だったとも言える。
家に帰ってきて早々、気持ちが変わらないようにと早速伯母に行く返事をしたのだが、時間が経つにつれて後悔しだした。優柔不断の典型例である。
何度自分をなだめても、面倒臭さだとか不安だとかで、行くのが嫌になる。
今だって、本当に行くのが面倒くさい。
たまたま出張から帰ってきた父親が、意外にも山口行きに反対したということもある。
それに、母親と妹という小さな世界観の中で、半ば言いくるめられるような形で決断してしまったのも何とも腹立たしい。なぜ、軽蔑するとまで言われなくてはならないのかと。
しかし、もう「行く」と言ってしまった。二転三転して断るわけにもいかない。
そこで、そんな自分をなんとか押さえつけるために一つ言い訳を考えた。
「ライターはいつでも挑戦できるが、伯父の会社は今だけ」
今はこの理屈でどうにか誤魔化すしかない。
他にも言い訳で固めるとしたら、ワーキングホリデーと思うことにしようと思う。ちょうど一年前に考えていたことではある。
いずれにせよ、歳をとってからできることではない。
しかし、まさか山口に永住する気なんて更々ない。数年後には、知識だけ得て地元に帰ってくるつもりだ。勝手にそう思っているだけだが。
何せ再び自分の夢を保留する決断をしてしまったわけだ。辛いことだが、今の自分に何もないのも事実。地元で上手く就職できる保証もない。
だから、山口に行って多少なりとも知識や技術を自分なりに身に付けるしかない。
山口行きを選択したおかげか、悔しいことに、あれほど口論した母親と妹の機嫌は良い。
今後も嫌になったり後悔するだろうことが目に見えている。
そんな時、自分を落ち着かせるために、この記事を読み返すようにしたい。
あー、マジで面倒くせえ。