GW九州一周 珍道中!〈1日目〉
プロローグ
ついに始まった史上最長のGW。
そんな長い長い連休を充実させるべく、われわれ2人は九州一周に向けてさっそく出発した。
山口を発ったのはGW前日の晩。
ひとまず下関まで歩みを進めることにした。
自宅に布団がないので同行人である後輩くんを泊めてあげられないし、少しでも渋滞を避けたいと考えたからだ。
下関に到着しだい、どこかで優雅に車中泊するつもりだったが、さっそく出鼻を挫かれるような形になってしまった。
無事、下関には着いたものの寒すぎてとても寝られない。
GWだからって舐めすぎていた…。
結局、その晩は全然寝られず初日から寝不足状態での開始となった。
トラブルは旅のスパイスとは言え、前途多難である。
出発〜自販機うどんを食す〜
長沢湖畔に立っており、さぞ景色も良いのだろうけど、あいにく夜で何も見えない。ただ、地元の銭湯といったような雰囲気で、いい感じにひなびている。
「よしっ行くぞ」って感じで、そこでささやかな前夜祭というか決起会を開いた。
しかし、本当の目的はその傍にある「うどん自販機」!
後輩くんが言うには、最近ではこういった自販機は本当に少なく、行きたかったらしい。
値段は300円。その自販機では、きつね、天ぷら、肉うどんが選べるようになっていたので今回自分は無難そうなきつねをチョイス。
ちなみに、後輩くんは肉うどん。
以前、神戸でもその自販機を見つけて、同じく後輩くんと食べに行ったことがあったのだけれど、いまいち美味しくなかったことを覚えている。
なので、最初は購入に少し躊躇した。
しかし、今回の自販機うどんは美味しい!
出汁の風味がしっかりあって、麺も伸びていないので普通に美味しかった。
具も思いのほか充実している。乾燥しておらずボリュームもある。
これなら、夜中にふらっと食べに行ってもいいかもしれない。
簡単に空腹をしのぎ、さっそく下関へ向けて出発。
下道を行き1時間半ほどで無事に到着したものの、車中泊できそうな場所がなかなか見つからない。道の駅でもあるだろうと思っていたのだが…。
しばらく探したものの、見つからないので駐車場の広いコンビニに停めさせてもらい一夜を明かすことにした。
下関をぶらり散策
九州旅行初日。
あまりに寒くて寝られないので、2人とも4時頃には目が覚めてしまった。身体が震えて歯がガチガチ鳴ってしまうレベル。
しかし、さすがに早すぎてどうしようもないので、適当に今後の行程について会議。
そうこうしているうちに明るくなってきたので、とりあえず下関歩道トンネルの辺りまでやってきた。
おはようございます。
私ごとながら、本日で25歳の誕生日を迎えました。祝アラサー突入!
かと言って、朝日を浴びて心機一転というわけでもなく、眠い目をこすりつつ、まずは下関で朝食を取るためにも唐戸市場へと向かった。
ネットで調べるに、市場自体は朝5時からやっているとのことだったが、開いている店は少ないとのことだったので、30分ほど経ってから訪れた。
しかし、それでも早すぎたらしい。
鮮魚の大きな切り身などは売ってはいるものの、求めていた海鮮丼などはまだ準備中のようだったので、あいにく何も買えず仕舞い。
そうは言っても、朝市の活気や大きな魚を捌いている様子を見ることができた。
九州上陸、福岡観光!
1. 部崎灯台(7:30頃)
市場を出ると、一路九州へ。
さっそく関門トンネルを抜けて九州への上陸を試みた。
通行料は軽自動車で100円。
タダだと思っていたので、一瞬焦った。
いつ海面下に入ったのか分からないようなトンネル道をずんずん下り、県境を越えると今度は上っていく。
トンネルを抜けると、さすが九州っ…なんてことも特になく普通の街並みが広がる。
良くも悪くも日本はどこも大して変わらない。街は街だ。路面電車でもあれば別だが。
それでも、赤レンガ倉庫らしきものを見かけるなど港町らしさは何となく感じられた。
海沿いにある船用の信号も、下関や門司ならではの景色だと言えるだろう。
それでは、本格的に九州旅行スタート!
最初に向かったのは灯台。
よく分からないが、後輩くんたっての希望である。
ということで、九州初の観光はそこへ向かうことになった。
ひとまず後輩くんが車を運転するというので、こちらは睡眠不足を解消すべく助手席で寝ることに…zzz.
それから15分くらい経っただろうか。
車が停まったので目を覚ましてみると、お目当ての灯台に辿り着いた様子。
到着したのは「部崎灯台」というところ。
立看板によると、日本が開国する際に兵庫津(神戸港)を開港する準備として、この灯台が設置されたのだそうだ。
明治期に海外の灯台建築家に造ってもらったもので、石造りとなっている。
灯台がある場所は丘になっているので、階段で上まで行くと関門海峡が見渡せる。
朝日に照らされた瀬戸内海は明るく煌めき、丘の上からは大きな船が行き来している様子や港の巨大クレーンが見える。
自分たちが普段住んでいる本州を遠くから見ると、改めてよし行くぞって感じがする。
旅の景気づけにはいいかもしれない。
ふとそばを見ると、何やら後輩くんがゴソゴソ。
唐突に動画を撮ってくれと言われた。
話を聞くに、九州旅行を機にユーチューバー デビューを考えているらしく、その素材を撮って欲しいのだという。
面倒臭いが少し面白そうなので協力してあげることにした。
関門海峡を背に、コテコテの関西弁で話す彼の雄姿を撮ってあげた。
ひどい動画だなと思いながら撮っていたのだが、本人はそれなりに満足している様子。
彼の編集力に期待したいところである。
動画撮影もそこそこに灯台を後にした。
2. 吉祥寺の藤まつり(9:00頃)
次に向かったのは、同じく福岡の吉祥寺。
後輩くん情報によると、今の時期は藤が綺麗に咲いているのだという。
灯台からは運転を交代して、自分が吉祥寺まで運転することにした。慣れない街中での運転は本当に怖い。
ペーパードライバーというわけでもないのだけれど、まだ厚紙くらいの運転技術しか持っていない自分には戦々恐々って感じだ。
それでも、灯台から1時間ほどかけて無事到着することができた。
吉祥寺では、ちょうどこの日から「藤まつり」が開かれるとのことで、朝にしては多くの人で賑わっていた。
藤棚は今までも観たことはあるが、その中でも吉祥寺の藤はけっこう立派で、垂れ下がっている花の部分はかなり長い。
藤棚の広さもかなり大きくて、入念に手入れがされているようだ。
周囲には、藤のいい香りも漂っている。
クマバチが飛び回っている様子も絵になる。
境内には五重塔を模した展望台があり、その近辺の街並を一望できる。
取り立てて良い景色というわけでもないけれど、上から藤棚を見下ろせる。
境内を30分ほどうろついて、春の風物詩を堪能した。
ちなみに、後輩くんのユーチューバー活動は早くも頓挫した。
カメラが回っている状態でセリフを話す難しさと、周囲に人がいる中で行う撮影が恥ずかしいらしい。
その後、彼は黙々と写真を撮っていた。
大分観光!
1.耶馬渓「青の洞門」(12:00頃)
吉祥寺から南方面へ2時間ほど車を走らせ、今度は耶馬渓の「青の洞門」という所へ向かった。
青の洞門というのは、江戸時代に地元のお坊さんが掘ったと言われているトンネルである。
その当時、川沿いに整備された道がないために人々は馬とともに崖を伝って移動していたという。
しかし、滑落するなどして命を落としてしまう事故が後を絶たないので、安心して歩けるようお坊さんが岩に穴を掘り始めたのだそうだ。
その後、彼に感化された村人たちも手伝い、着工から30年ほど経って開通したという。
今となっては、車も通れるよう広く整備され、その工事自体もダイナマイトなどで空けられたそうだが、かなりの苦労が偲ばれる。
トンネル内には、当時の面影が残る壁面が残されていて、ノミの跡やロウソクを立てる穴などを見ることができる。
青の洞門の反対側、つまりは川の向こう岸には水色の可愛らしい花がたくさん植えられていた。
カタカナ名で、なんという名前の花だったか忘れてしまったが、春の訪れを感じさせるような可憐な花で、老若男女問わず写真を撮っていた。
耶馬渓を構成している山々も、中国的な壮大な山で、菊池寛が小説の題材にしたり、福沢諭吉がその美しさを保護したりしたのだそうだ。
おかげで、耶馬渓は九州を代表する観光地となったわけだ。
ちなみに、大正時代からすでに耶馬渓のガイドブック的なものが作られていたらしい。その時代から、有名観光地として認知されていたというわけだ。
(道の駅「やばトピア」内の風物館で得た情報。そのネーミングセンスが、まさにヤバい)
2.郷土料理「だんご汁」を食す(13:00頃)
その後、青の洞門から5分ほど車を走らせた所に古民家風の飲食店があったので昼食をとるべく入店。
店の名前は「のどか」といって、雰囲気はその名に違わぬ長閑っぷりである。
メニューに出されたのは3種類。どうやら日替わりらしい。
その中に、大分の郷土料理だという「だんご汁」があったので、それを注文。
味噌風味の鍋のなかに、「おうとう」と呼ばれるモチモチ団子が入っていて、とても美味しい。
店からは、耶馬渓の一部だと思われる山々が見えて景色も良い。
ところどころ、山の頂上に仏塔らしきものが立っていたりして、昔から山が信仰の対象だっただろうことが伺われる。
美味しい郷土料理に舌鼓をうち、耶馬渓を後にした。
2.慈恩の滝(15:00頃)
次に向かったのは慈恩の滝。
今回めぐる観光地は、ほとんど後輩くんに任せっきりなのだが、正直言って最初聞いた時は「なんで?」と思った。
なぜに大分まで来て滝か、と。
しかし、慈恩の滝はそれでも観る価値ありだと思う。
なかなかお目にかかれない、壮大な滝だった。
慈愛の滝には龍神伝説があって、病気を治療してくれたお坊さんに感謝して、龍がこの辺りに豊富な雨を降らしているという。
慈恩の滝は、珍しいことに裏を見て回ることができ、そこからも龍神伝説が生まれただろうことが推察される。
滝は一般的に遠くから眺めるものだが、ここの滝は違う。
滝に近づけば近づくほど水しぶきがかかり、真裏まで行ってしまうと水浸しになる。大迫力だ。
いわば、体験型の滝だと言ってもいい。
最近の旅行ブームの肝を押さえた滝なのだ。
滝の裏側を見られるなんて、なかなか珍しいし、他の滝とは迫力が違う。
鮎らしき魚もいたので、きっと水もとても綺麗なのだろう。
近くに来たときは、ぜひとも言っておきたい滝だ。
3.天ヶ瀬温泉(16:00頃)
次に訪れたのは通な温泉。
道路を挟んだ天ヶ瀬駅の反対側にあるのだが、非常に分かりづらい。
建物に挟まれた、軽自動車がギリギリ1台通れるような細い道を抜けると、川沿いに温泉が現れる。
脱衣所もないような開放的な温泉で、街中に溶け込んだ秘湯と言えるだろうと思う。
周囲には硫黄の匂いが充満しており、駅前でも足湯などが楽しめる。
かなり開放感のある風呂だが、せっかくなので入ってみることに。
ちなみに、気休め程度には目隠しが設置されてある。
入湯料は、まさかの100円。ワンコインである。
最近のガチャガチャよりも安い。
地元の人がよく使っているらしく、自分たちが浸かっている間もいくらか話を聞くことができた。
一応、混浴らしいが女の人はほとんど来ないらしい。
自分たちが入っている間も、そんなラッキースケベ的なイベントは起こらず、ゆったりと硫黄温泉を楽しんだ。
温泉から上がっても、シャワーがないので洗い流すことはできない。
体から硫黄の匂いがしてきて、温泉に入ってきた感を味わえる。
匂っていたとしても、決してオナラをこきつづけているわけではない。
3. 壁湯温泉(17:30頃)
ふたたび温泉である。
大分は本当に温泉が多い。
伊達に温泉県を名乗っていない。
おそらく行ってみたい温泉をめぐるだけで、GWを使い果たしてしまうだろう。
そんな中で選び抜いた、ここ壁湯温泉もなかなかの秘湯っぷりだ。
ここもまた川沿いにあるのだが、岩の隙間から温泉が湧き出してくるので、源泉をもろに感じられる。
壁や天井も岩が剥き出しになっていて、城崎温泉・一の湯の強化版みたいだという印象を受けた。
しかし、あれは人工的な感じがするから、こことは比較にならない。
ただし、天井の岩の隙間からも湧き出しているのか、時おり頭上から水が滴り落ちてくるのが若干うっとうしい。冷たっ!てなる。
それも、天然温泉ならではの良さではあるのだろうけれど。
浴槽もさほど整備されておらず、底には砂や小石、岩がゴロゴロしている。
少しぬるいのが個人的には残念だが、その分いくらでも入っていられる。
壁湯温泉には格言的な文章が掲げてあった。
「1時間入らずして壁湯温泉を語るな、2時間入って体に問え」
細かいところは違ったと思うが、大体の趣旨はそんな感じだ。
結局、辺りが暗くなるまで2時間以上浸かり続けたので、指がしわしわになってしまった。
最後まで体が温まることはなく、上がるときも寒さに震えたが、2時間は入っていたので最低でも「語る資格」は得られたように思う。
頻繁に壁湯温泉を利用する人によれば、肩こりや筋肉痛などに効くらしい。
この温泉にもそうそう来られそうにないので、しっかりと記憶に留めておきたいと思う。
ちなみに、入湯料は300円。
やはりリーズナブル。
その支払いに寄った宿も、ものすごく雰囲気がいい。
残念ながら今回は泊まらないが、ぜひとも泊まってみたい宿だと感じた。
初日の終わりに
すっかり日が暮れてしまい、その後は暗い山道を抜けて別府方面へ。
道中で見つけた24時間営業のスーパーに車を停め、一夜を明かすことにした。
しかし、今夜も寒い。全く寝られない。
昨晩に引き続いてこの状況なので、さすがに疲労の色が出てきた。
そのせいか、何となく2人の間もギスギスし出してしまい
「九州一周とか無理ちゃう」
などという、この旅の根幹を揺るがす発言まで出てきた。
こちらとしても、心なしかイライラしてしまう。
前日から出発しているとは言え、まだ九州旅行は始まったばかり。
早くも、楽しい休日を過ごせるか不安になってきた。
そんなことを考えつつ、ひとまず今日も寒さに震えながら眠りについた。
TO BE CONTINUED.